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東京地方裁判所 昭和43年(特わ)890号 判決 1969年4月24日

本店所在地

東京都港区芝新橋一丁目一八番地

東邦興行株式会社

(右代表者代表取締役 小川保人)

本籍

東京都杉並区桃井三丁目一一番地

住居

東京都品川区旗の台六丁目七番一六号

会社役員

小川保人

大正二年四月一日生

右の者等に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官屋敷哲郎出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。

主文

被告会社を罰金七〇〇万円に、

被告人小川保人を、懲役四月に、

それぞれ処する。

ただし、被告人小川保人に対し、本裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は映画興行等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人小川は同会社の代表取締役として、その業務全般を統轄していたものであるが、被告人小川は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、映画フイルムの架空仕入、宣伝広告費および従業員給与等の架空計上、雑収入の除外等により簿外預金を蓄積する等の方法によつて所得を秘匿したうえ

第一、昭和三九年一〇月一日より同四〇年九月三〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が四八、五二一、八二〇円で、これに対する法人税額が一七、七七三、〇六〇円であつたのにかかわらず、昭和四〇年一一月三〇日東京都港区西新橋三丁目二五番四四号所在の所轄芝税務署において、同税務署長に対し、被告会社の右事業年度における所得金額が八、九二一、〇六六円で、これに対する法人税額が三、一二〇、七七〇円にすぎない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右正規の法人税額と申告税額との差額一四、六五二、二九〇円を法定の納付期限までに納付せず、もつて不正の行為により同額の法人税を免れ

第二、昭和四〇年一〇月一日より同四一年九月三〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が三五、一三〇、一五六円で、これに対する法人税額が一二、四五一、八三〇であつたのにかかわらず、昭和四一年一一月三〇日前記芝税務署において、同税務署長に対し、被告会社の右事業年度における所得金額が、七、一四三、〇六一円でこれに対する法人税額が二、三七六、四八〇円にすぎない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右正規の法人税額と申告税額との差額一〇、〇七五、三五〇円を法定の納付期限までに納付せず、もつて不正の行為により同額の法人税を免れ

たものである (判示各事業年度における所得の確定は別紙第一、第二の各修正損益計算書記載のとおり。)

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書四通および検察官に対する供述調書二通

一、小川朋久の大蔵事務官に対する質問てん末書(三通)

一、山口秀丸の大蔵事務官に対する質問てん末書(三通)、および検察官に対する供述調書(二通)

一、宮田修一郎の上申書および大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大蔵事務官本山和博作成の映画料架空支払分期間損益調査書、映画料架空支払調査書、フイルム代支払小切手のうち不明出金分明細表、映画料簿外支払調査書、大入袋(従業員奨励金)の各人別明細書、給料手当勘定と公表給料・賞与明細との突合表、取締役小川朋久の給料調査書、仮名預金への入金内容調査書、架空交通費(従業員)調査書、広告宣伝費等の架空支払調査書、雑収入除外分調査書、銀行支払利息是否認調査書

一、大蔵事務官折井瑞穂作成の架空給料賞与等の明細書、社会保険料納付状況調査書、減価償却費調査書、法人税額計算書

一、花野直已作成の銀行預金証明書

一、竹部権三郎の上申書

一、守屋藤吉の上申書

一、登記官吏永島博作成の被告会社の登記簿謄本

一、押収に係る総勘定元帳三綴(当庁昭和四四年押第一五一号の1ないし3)、映画料買掛帳二綴(同号の4の1、2)、当座預金勘定帳四冊(同号の5の1ないし4)、総勘定元帳一綴(同号の6)、覚帳一袋(同号の8)、大入他特別収入帳一袋(同号の9)、法人税確定申告書二綴(同号の15、16)

(法令の適用)

被告会社並びに被告人の判示各罪は法人税法一五九条(被告会社につきさらに同法一六四条)に各該当するところ、被告人の判示各罪につき所定刑中いずれも徴役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役四月に、被告会社については同法四八条二項により罰金額を合算した範囲内で罰金七〇〇万円に各処し情状により被告人に対し同法二五条一項を適用して本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 小島建彦)

修正損益計算書

東邦興行株式会社

自 昭和39年10月1日

至 昭和40年9月30日

<省略>

<省略>

修正損益計算書

東邦興行株式会社

自 昭和40年10月 日

至 昭和41年9月30日

<省略>

<省略>

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